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小さいおうち 中島 京子 文藝春秋 価格: ¥ 1,660 定価: ¥ 1,660 発売日: 2010/05 売上ランキング: 311位 単行本 / 在庫あり。 |
[ユーザーによる評価] 平均評価: 4.5
/ 総数: 19件
検索しました(笑)
裏切られましたね!
向田邦子の世界とはまったく別の昭和初期の物語
文句なしに今年度 NO.1!傑作です。
第143回 直木賞受賞作品
昭和初年、東北から東京へと女中奉公に出たタキ。奉公先は赤い三角屋根の家に暮らす3人家族の平井家だった。やがて日本が戦争に呑み込まれていく中でタキが垣間見た、家族の日々を回想した物語。
日中戦争時以降の平井家の暮らしぶりとしてこの小説の中で描かれる様子は、タキの手記を現在の目で見る甥の息子・健史が訝るように、戦争を知らない世代にとっては日本史の教科書でわずかな紙幅で記される戦闘・戦場の様子とは縁づいていないように思われます。
作者・中島京子がこの小説で直木賞を受賞した以後、様々なインタビュー記事で述べているように、当時の婦人雑誌などを渉猟して読みこんだ上で構築したというだけあって、おそらく確かにこのような暮らしぶりが実際に展開されていたのだろうなと思わせるだけの説得力をもって迫ってきます。
またやさしい温もりを感じさせる文章は大変好ましく感じられました。今に比べればずっとゆったりと時間が流れていた時代、そこに生きる人々のテンポのようなものがその文章によって巧みに映し出されているように思います。
しかし、女中さんのようにちょっと遠くてちょっと近い存在である人物の目を通してある家庭の暮らしと秘密を回想するという小説はこれまでもありました。小川洋子は『博士の愛した数式』や『ミーナの行進』でそうした物語を見せてくれましたし、北村薫の三部作『街の灯』『玻璃の天』『鷺と雪』も似た設定です。
そうした作品に引き比べると、この『小さいおうち』は描かれている物語が若干大人しいと感じます。『博士…』のような奇抜な着想があるわけでもありませんし、『街の灯』三部作に比べると社会的メッセージの強さはさほど感じられません。
また、平井家の秘密の内実が予想のつく範囲にとどまっているように思われ、驚きを感じるまでには至らなかったのです。 (2010-09-01)
検索しました(笑)本を読んだ後「これって実話なの?」って思い何度も関係しそうなページを戻って読み直したり、本の最後によくある「実話より…」コメントが無い事に困惑し、イタクラ・ショージの名前で検索までしちゃいました(笑) これって作り話ですよねぇ〜?とっても昭和なストーリーなんですが、実は私の祖母の家にも昔女中さんがいたそうで、どんな生活なのかなって気になっていたので、この作品に出会えてイメージが膨らみとっても楽しく読む事が出来ました。いい作品だと思います。
(2010-09-08)
裏切られましたね!いい意味で裏切られました。
いろんな読み方・楽しみ方ができる小説です。
それだけに期待を高めてしまうと、肩すかしをくらう可能性もあります。
直木賞受賞も著者のことも知らず、たまたま手に取った本がこの一冊だったらなんて幸せなんでしょう。
この物語に出てくる人物、みな魅力的です。
実写映画化したら、観てみたいなー。
「何かを遺す」ということに対して
非常に反応(いい方向で)してしまうことに
あらためて気付きました。 (2010-09-07)
いろんな読み方・楽しみ方ができる小説です。
それだけに期待を高めてしまうと、肩すかしをくらう可能性もあります。
直木賞受賞も著者のことも知らず、たまたま手に取った本がこの一冊だったらなんて幸せなんでしょう。
この物語に出てくる人物、みな魅力的です。
実写映画化したら、観てみたいなー。
「何かを遺す」ということに対して
非常に反応(いい方向で)してしまうことに
あらためて気付きました。 (2010-09-07)
向田邦子の世界とはまったく別の昭和初期の物語バージニア・リー・バートンの絵本と同じ題名であるが、これには仕掛けがある。だいたいが、女中をしていた女性の視点で描いた昭和前期のちょっとセレブな家庭の話、と思って読んでいたら、最終章で全く思ってもいない展開になっている。まるでミステリーのようである。
時代は昭和5年から終戦後まで、この時代の暮らしぶりが細やかに描かれている。いわゆる古き良き昭和である。実は、途中まではあまりに穏やかに描かれているので、戦争によって一般市民の生活が突然暗転する様が描かれるのかと思っていた。と言えば、当然向田邦子の小説を思い浮かべずにはいられない。それと彼女の小説を基にして久世光彦が作っていたテレビドラマの世界である。毎年8月に放映されていたのを楽しみに見ていた。それらと比べたら、ていねいで感じはいいが、あまりに大人しく、もっと言えばつまらなく思い、ちょっとずるをして最終章をちょい読みしてびっくり。
今もなんだか不思議な気持ちが消えていない。最終章によって、それまでの物語が全く別のニュアンスを持ってしまうことになった。最終章の語り手はそれまでの語り手タキの甥にあたる健史(最終章での人格はかなり変わってしまっている)である。章ごとに別の登場人物の視点で同じ物語が語られるという体裁はこのごろよく見られる手法であるが、それとはまた違う。タキは赤い三角屋根の家で美しい奥様と過ごした女中奉公の日々を振り返るが、タキ本人によっては決して語られなかった、あるいは語りたくなかった想いが、60年以上の時を経て健史によって少しだけ(全部ではないのよね)明らかにされたということか。
最後の健史のつぶやき
「僕はけっして正しい答えをみつけられない。僕はいつも、聞かなかった問いの答えばかりを探している」が妙に心に残っている。
(2010-09-05)
時代は昭和5年から終戦後まで、この時代の暮らしぶりが細やかに描かれている。いわゆる古き良き昭和である。実は、途中まではあまりに穏やかに描かれているので、戦争によって一般市民の生活が突然暗転する様が描かれるのかと思っていた。と言えば、当然向田邦子の小説を思い浮かべずにはいられない。それと彼女の小説を基にして久世光彦が作っていたテレビドラマの世界である。毎年8月に放映されていたのを楽しみに見ていた。それらと比べたら、ていねいで感じはいいが、あまりに大人しく、もっと言えばつまらなく思い、ちょっとずるをして最終章をちょい読みしてびっくり。
今もなんだか不思議な気持ちが消えていない。最終章によって、それまでの物語が全く別のニュアンスを持ってしまうことになった。最終章の語り手はそれまでの語り手タキの甥にあたる健史(最終章での人格はかなり変わってしまっている)である。章ごとに別の登場人物の視点で同じ物語が語られるという体裁はこのごろよく見られる手法であるが、それとはまた違う。タキは赤い三角屋根の家で美しい奥様と過ごした女中奉公の日々を振り返るが、タキ本人によっては決して語られなかった、あるいは語りたくなかった想いが、60年以上の時を経て健史によって少しだけ(全部ではないのよね)明らかにされたということか。
最後の健史のつぶやき
「僕はけっして正しい答えをみつけられない。僕はいつも、聞かなかった問いの答えばかりを探している」が妙に心に残っている。
(2010-09-05)
文句なしに今年度 NO.1!傑作です。近年の直木賞の報道から、実際に本屋に行き購入したいと思う本はまれだ。でも最初の一報から本書のことは気になっていた。もちろんアマゾンのレビューもネタバレしない程度のものはリサーチ済み。ここ数年、第二次大戦を再考する歴史書も多く出され、時間の許す限り読んだものの、私ににとっては戦争は過去の遠い歴史になってしまった。
総力戦体制に突入する昭和の暗い時代に、山の手の小さな赤い屋根のおうちに女中として使えたタキさんの回想録。戦争を扱った歴史分析が、しばしば悲惨で暗いものになりがちであるのに、タキさんの口調は孫に話す様に、平易で、詳細で、そして魅力にとんでいる。裕福で恵まれたお家に起こる小さな事件。そしてそれは唐突に終わりを告げる。筆者は最後に大きな仕掛けを用意して、1つの凡庸なエピソードに彩りを驚きを織り込ませる。
何度も読みたくなる本が少ない中で、自分の娘に残したいと思う本のリストに本書を入れたいと思う。おそらく本書は、倍のページで二段構えの構成ほどの量を超える分量をもっていても不思議ではなかったと思う。宝石の様に光る文章が心に染み渡った。間違いなく今年度NO.1の傑作。 (2010-09-04)
総力戦体制に突入する昭和の暗い時代に、山の手の小さな赤い屋根のおうちに女中として使えたタキさんの回想録。戦争を扱った歴史分析が、しばしば悲惨で暗いものになりがちであるのに、タキさんの口調は孫に話す様に、平易で、詳細で、そして魅力にとんでいる。裕福で恵まれたお家に起こる小さな事件。そしてそれは唐突に終わりを告げる。筆者は最後に大きな仕掛けを用意して、1つの凡庸なエピソードに彩りを驚きを織り込ませる。
何度も読みたくなる本が少ない中で、自分の娘に残したいと思う本のリストに本書を入れたいと思う。おそらく本書は、倍のページで二段構えの構成ほどの量を超える分量をもっていても不思議ではなかったと思う。宝石の様に光る文章が心に染み渡った。間違いなく今年度NO.1の傑作。 (2010-09-04)
第143回 直木賞受賞作品昭和初年、東北から東京へと女中奉公に出たタキ。奉公先は赤い三角屋根の家に暮らす3人家族の平井家だった。やがて日本が戦争に呑み込まれていく中でタキが垣間見た、家族の日々を回想した物語。
日中戦争時以降の平井家の暮らしぶりとしてこの小説の中で描かれる様子は、タキの手記を現在の目で見る甥の息子・健史が訝るように、戦争を知らない世代にとっては日本史の教科書でわずかな紙幅で記される戦闘・戦場の様子とは縁づいていないように思われます。
作者・中島京子がこの小説で直木賞を受賞した以後、様々なインタビュー記事で述べているように、当時の婦人雑誌などを渉猟して読みこんだ上で構築したというだけあって、おそらく確かにこのような暮らしぶりが実際に展開されていたのだろうなと思わせるだけの説得力をもって迫ってきます。
またやさしい温もりを感じさせる文章は大変好ましく感じられました。今に比べればずっとゆったりと時間が流れていた時代、そこに生きる人々のテンポのようなものがその文章によって巧みに映し出されているように思います。
しかし、女中さんのようにちょっと遠くてちょっと近い存在である人物の目を通してある家庭の暮らしと秘密を回想するという小説はこれまでもありました。小川洋子は『博士の愛した数式』や『ミーナの行進』でそうした物語を見せてくれましたし、北村薫の三部作『街の灯』『玻璃の天』『鷺と雪』も似た設定です。
そうした作品に引き比べると、この『小さいおうち』は描かれている物語が若干大人しいと感じます。『博士…』のような奇抜な着想があるわけでもありませんし、『街の灯』三部作に比べると社会的メッセージの強さはさほど感じられません。
また、平井家の秘密の内実が予想のつく範囲にとどまっているように思われ、驚きを感じるまでには至らなかったのです。 (2010-09-01)































